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Neue Stimmen 25周年記念コンサート

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フランコ・ファジョーリが2003年に参加してカウンター・テナーとして初優勝した
ドイツで開催されているNeue Stimmenという国際コンクールの25周年を記念するコンサートがありました。

Medici TV で2月末頃まで見られるという事を
ドイツのLotus-eaterさんに教えて頂きました!
Thank you Lotus-eater!♪
登録(無料)をしないと見られないようですが、
facebookのアカウントでも見ることが出来るようです。

フランコ・ファジョーリは
Monteverdiの Sì dolce è ‘l tormento をリュート伴奏で歌っております。
最後の音の素晴らしいこと!歓声も上がってます♪
又、最後にホフマン物語舟歌を(何故か)3人でちょこっとだけ歌っております。
なんかみんな妙な作り笑顔がちょっと・・・ですが(笑)
右のプログラムで曲を選べば聴きたい所に飛ぶようになっております。
少し、音が小さいようなのでイヤホン等を使わないと聴きづらいかもしれません。

こちらはコンサート映像ではなく、コンクールを振り返った映像です。
若き日のナタリー・シュトゥッツマン、ヴェッセリーナ・カサロヴァ、
ルネ・パーペ、ハンノ・ミュラー=ブラッハマン、マキシム・ミロノフなどちょこっと映ってます。



『歌劇はカゲキなスポーツ』 Hochleistungssport Operngesang

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CS放送のクラシカ・ジャパンで放送されていたので見てみました。
『歌劇はカゲキなスポーツ』Hochleistungssport Operngesang

2011年制作の番組でミュンヘンで作られた物のようです。

登場する歌手は
ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann
アニヤ・ハルテロス Anja Harteros
ピョートル・ベチャワ Piotor Beczala
ダニエル・ベーレ Daniel Behle
クリスタ・ルードヴィヒ Christa Ludwig
エッダ・モーザー Edda Moser


声の支えの事をスキーのジャンプの上空での体勢を維持することに例えられていたり、
公演の真っ最中に声が不調になることをサッカーの試合中に怪我をする事に例えて、
そのまま歌い続けるのか、途中で交代するのかと言った話をしていたりと、
スポーツに例える事で、それがいかに大変なのか気付かされる事も結構ありました。
又、リハーサルで指揮者や演出家に潰されてしまう歌手の事例などをあげていたりと
本当に過酷な職業だと感じました。

オペラ歌手に限らず、スポーツ選手にしても
若い頃歌が上手だった、スポーツが上手だったと言う事と、
20歳そこそこでそのままプロの世界に入り、
仕事として歌を歌ったりスポーツをするというのとは全く違うのだな・・
という事も改めて感じました。

コンディションを維持する為、長く仕事を続ける為に
どれだけ本人が気を配れるか、周りにアドバイスをしてくれる人がいるか
というのは本当に重要な事ですよね。

カウフマンやハルテロスは調子が悪い時は無理をしないで降りる、
とインタビューで答えてますが(二人共、キャンセル魔!?)
でも、若い人にとってはチャンスが来れば無理をしてしまうだろうな・・・
なんても考えてしまいました。
そういう事も含めて運にもなってしまうのかもしれませんが・・




R.シュトラウス『サロメ』 

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R.シュトラウス『サロメ』 R.Strauss “SALOME”


R.シュトラウス:楽劇「サロメ」全曲[DVD]/アーティスト不明

¥6,300
Amazon.co.jp

HMV DVDとブルーレイがあります。

サロメ アンゲラ・デノケ Angela Denoke
ヘロデ キム・べグリー Kim Begley
ヘロディアス ドリス・ゾッフェル Doris Soffel
ヨカナーン アラン・ヘルド Alan Held
ナラボート マルセル・レイヤン Mrcel Reijans

管弦楽 ベルリン・ドイツ交響楽団 Berlin Deutsches Symphony Orchestra
指揮 シュテファン・ゾルテス Stefan Soltesz

演出 ニコラス・レーンホフ Nikolaus Lehnhoff
舞台デザイン ハンス=マルティン・シュローダー
収録 2011年 バーデン・バーデン祝祭劇場 Festspielhaus Baden-Baden(ライブ)


発売元のARTHAUSが
“ここでサロメを歌うデノケは、少女と称するには無理がありますが、・・・”
と書いているように確かにデノケのサロメは少女には見えないかもしれません。

しかし、その猫のような身のこなし、歌の表現力に
思わず引きこまれてしまいました。

特にナラボートをそそのかしてヨカナーンと対面し、
今度はヨカナーンに言い寄る一連の箇所はまるで『ルル』のように魅力的!
(ああ、そうか、ナラボートは自殺するんですね・・・)
今までにもデノケは何度かテレビ等で見てはいるのですが
こういう役があうと思っていなかったので驚きました。

演出に関しては、現代に置き換えただけ・・・とも思ったのですが、
デノケの演技を見ながら感じたのは
主要人物全員に対するサロメの復讐!という事。
特に両親に対する復讐心は凄まじいのかしら・・・??と感じました。


母親ヘロディアスを悪く言い、それ故ヘロディアスが嫌っているヨカナーンを愛する事で復讐。

  7つのヴェールの踊りのシーンではヘロディアスのそばに近寄り、
  ヨカナーンが羽織っていたガウンを身にまとって見せていました。

田舎者っぽい風情のスケベで、迷信深いヘロデ。
聖者ヨカナーンを殺すと恐ろしいことが起きるのではないか?と恐れているヘロデに
そのスケベ心を利用してヨカナーンを殺させるという方法で復讐をする。

  7つのヴェールの踊りのシーンでは少女サロメが想像していた以上に
  ヘロデがいやらしかった故か、一瞬心が折れそうな表情を見せていました。

そして
キスをしたいのにさせてくれなかったヨカナーンに無理やりキスをすることで復讐。
ナラボートに対しても復讐と言うと大げさですが、
ナラボートがサロメに思いを寄せている事を知りつつ、
彼の目の前でわざとヨカナーンに言い寄って見せたのかもしれません・・・

まあ、兎に角、デノケの演技、歌の表現力(時に官能的に、時に激しく、また、上質なレチタティーボのような、会話しているかのような表現力)に魅入られました。
サロメ役の歌ってこんな歌だったのだと。
高音がキレイに出ていないな・・と感じる箇所が多々あったのですが、
それを補って余りあるものでした。




どうでも良いことですが・・

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以前にも載っけた
2012年夏、マルティーナ・フランカの音楽祭での
ハッセ『アルタセルセ』のリハーサル中の写真。



左から
マリア・グラツィア・スキアーボ、ローザ・ボヴェ、アニーチョ・ゾルジ・ジュスティニアーニ、
フランコ・ファジョーリ、アントニオ・ジョヴァンニーニ
Maria Grazia Schiavo, Rosa Bove, Anicio Zorzi Giustiniani
Franco Fagioli, Antonio Giovannini


こちらは、先日12月1日に行われた
Neue Stimmenの25周年コンサートの時のパーティーの様子・・







スマホが手放せないんでしょうか?(笑)
一応、談笑もしております。



左からアンドレイ・ドゥナエフ、フランコ・ファジョーリ、ユリア・ノヴィコヴァ、
Burak Biligli、グスタフ・クーン
Andrej Dunaev, Franco Fagioli, Juria Novicova, Burak Biligli ,Gustav Kuhn


おまけ・・・ハンプソン、かっこいいですね!
この写真はリンクを貼っているだけですので、写真をクリックするとFlickrの該当頁に飛びます。
他にも沢山写真があるので興味のある方はどうぞ!






フランコ・ファジョーリ インタビュー等

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明日、12月27日 ヴィンチ『アルタセルセ』の(今年)最後の公演が
ケルンで行われます。

私は残念ながら、現地で聴くことはかないませんでしたが、
沢山の方々が聴きに行かれ、最終日も聴きに行かれる方がいらっしゃるので、
追って、そちらはリンクを貼らせて頂きたく思っております。

又、BONNjourさんが公演の評も翻訳してくださったのでそちらも併せて
掲載したいと思っております。


ところで・・・
その『アルタセルセ』とは別に
フランコ・ファジョーリのインタビューと
12月1日に行われたNeue Stimmen25周年コンサートの評を
これも又、BONNjour様が訳して下さいましたのでご紹介します。

それから・・日本語版wikipediaのフランコ・ファジョーリの項も更新して下さいました!
BONNjour様、本当にどうも有難うございます♪

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Neue Stimmen25周年コンサートの評
Die Glocke
http://www.die-glocke.de/lokalnachrichten/kreisguetersloh/guetersloh/Ein-fulminantes-Jubilaeumskonzert-1ad1cfcf-2a6b-4b0b-8775-a868075812f3-ds

「アルゼンチン出身の世界的カウンターテナー、フランコ・ファジョーリ(2003年の優勝者)が、コンサートに特別な彩りを添えた。リュートのエマニュエル・フォルニを伴って登場した彼は、モンテヴェルディの"Si dolce è’l tormento"を歌い、熱狂的な喝采を浴びた。」

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インタビュー
La Gaceta 2012.12.7
Franco Fagioli, de la fila del Coro de Niños a Salzburgo

http://www.lagaceta.com.ar/nota/524054/espectaculos/de-fila-coro-ninos-salzburgo.html

「フランコ・ファジョーリ。児童合唱団からザルツブルクへ」

- 11歳でこの天才少年は「魔笛」に出演した。そして31歳。音楽祭の聖地で彼はプラシド・ドミンゴと共演し、スタンディングオベーションを受けるとともに、トゥクマンにいるファンたちを熱狂させた。

<ドミンゴと共演して>
- 彼のプロフェッショナリズムに感銘を受けた。最初のリハーサルから最後まで、いつも時間通りに現れて皆に挨拶し、自分の譜面台を探す。(中略)カバンからスコアを取りだしてびっしり書き込みをする…。彼の振る舞いを間近に見たことは自分にとって大きな学びだった。あと、蜂蜜とユーカリのキャンディを皆にふるまってくれるんだけど、同じものを実家で両親が愛用しているので、ちょっと親しみを感じた。

<オペラと室内楽ではどちらが好き?>
- どちらも好き。好みを言わせてもらうと、オペラも室内楽も、イタリア物が好き。

<1月のテアトロ・コロンのコンサートはどうだった?>
- おかげさまでとてもうまくいった。コロンは自分が勉強した所なので、あそこで歌うのはいつも大きな喜び。今までステージで歌ったことがなかった「リナルド」を歌うことができた。あの劇場の音響は、比べるものがないほど素晴らしい。


ヴィンチ『アルタセルセ』 ジャルスキーのインタビュー

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今年10月にCDをリリースその後
11月初頭のナンシーでのオペラ形式での公演を皮切りに
12月27日までにコンサート形式で各地で
公演の行われたレオナルド・ヴィンチの『アルタセルセ』

丁度そのタイミングにフィリップ・ジャルスキーのインタビューが
各メディアに掲載されました。
当然、ジャルスキー自身についてのインタビューではあるのですが
時期的に、ヴィンチの『アルタセルセ』についても
コメントをしております。

そして嬉しいことにいつも素敵で面白いブログを書いてらっしゃる
BONNjourさんが翻訳をしてくださいましたので
以下に掲載したいと思います。
  (BONNjourさんのブログB的日常はコチラ
色々と興味深い事を語ってますので是非、お読みください♪
又、BONNjourさんのブログにもジャルスキーのインタビューが掲載されてます!
こちらも併せてどうぞ!
ジャルスキー@Echoクラシック賞授賞式

BONNjourさんは今回ナンシーでの公演を現地でご覧になってます!
近々に現地でご覧になった方のブログも纏めてご紹介させていただこうと
思っております、暫くお待ち下さい♪


スイス・ロマンド放送~~~~~~~~~
(フランス語圏ラジオ局)から「アルタセルセ」に関する発言の抜粋
http://www.rts.ch/espace-2/programmes/magma/4494576-magma-du-24-12-2012.html

- 今回の「アルタセルセ」のプロダクション(訳者注:インタビュアーは「カウンターテナーのドリームチーム」と表現)は、近年のカウンターテナー革命によって実現した企画。

- 今ではメゾソプラノの声域でコロラチューラの技術を備えたカウンターテナーが出てきた。例えば「バルトリ的(Bartolesq)」な声域を持つフランコ(訳者注:ってファーストネームで呼んでた)とか。

- 今回の自分の役(アルタセルセ)は挑戦のしがいがあるものだった。というのも名人芸を聴かせる役ではなく、メランコリックで傷つきやすいキャラクターを表現しなくてはいけないので。

- カウンターテナーが5人も出るというと単調なのではと思われるが、実は個々の歌手の音楽性、個性、声質、テクニックなどは大いに異なる。


フィガロ紙~~~~~~~~~
LeFigaro
-飾り気のなさ!ジャルスキーを一言で表すなら、それだ

-僕は生来のオペラ歌手じゃない。むごい運命に翻弄される役柄を演じるには、かなりの無理をしなくちゃならない

-アルタセルセで友人役をやったフランコ・ファジョーリには、もっと広いレンジと真にドラマチックな気質が備わってるんだ

-学生時代からずっと同じ先生に師事してる。これが小さな癖を直すのに役立っている。例えば僕は低音域を歌うときに頭を傾ける傾向があるんだけど、これは悪い癖で、直さなくちゃいけない

Opernwelt~~~~~~~~~

ドイツのオペラ雑誌Opernwelt 2012年12月号に掲載された、Kai Luehrs-Kaiserによるジャルスキーへのショート・インタビュー。 「アルタセルセ」の新ディスクの話から話題が広がり、大変に興味深い内容です。以下、要約。

- 4人ものカウンターテナー(CT)と共演するのは、なかなかに手強く挑戦のしがいがあることだった。自分の役はタイトルロールだが、実際にはこの作品の主役とはいえない。この録音での最大の発掘は、ヴェラール・バルナ=サバドゥスとフランコ・ファジョーリという2人のCTだ。

- 女性の役に男性歌手をあてるのは、これらがもともとカストラートによって歌われたにもかかわらず、いまだにタブーとされている。自分はあまり女性役を歌いたいと思わないが、同僚であるマックス・エマニュエル・チェンチッチは女性役に抵抗がない。(チェンチッチは、以前共演したステファノ・ランディの「聖アレッシオ」では自分の妻役だったが、今度は妹になった、とジョークを飛ばすジャルスキー)。いずれにしても、音楽に没頭してしまえば、こうした役の異性装のことはすぐに気にならなくなる。

- (ケルビーノやオクタヴィアンのような女性歌手のズボン役や、さらにはロッシーニのチェネレントラのタイトルロールのような女性役を歌ってみたくないか、との問いに対し)ケルビーノなら、いけるかもしれない。

- もっとモーツアルトの役を歌いたいが、その役柄の多く(「ルーチョ・シッラ」のチェチリオや、「皇帝ティートの慈悲」のアンニオなどを例に挙げて)は、自分の声域には高すぎる。オクタヴィアンにしても、同様。アンジェリーナ(ロッシーニのチェネレントラの主役)は絶対無理!だが、彼女をいじめる義理の姉の一人を演じてみたい誘惑にはかられる。

- 国際的に活躍する一流指揮者の多くは、CTよりメゾを起用したがる、というチェンチッチの見解に同意。舞台演出家についても同様のことがいえる。

- 自分が世界でもっとも有名なCT歌手になるなんて、想像だにしなかった。現在自分が置かれている状況は、折り合いをつけるのが難しい。自分にとっては疑問だらけで、それは時間が解決するようなものではない。そんな理由から、歌手のキャリアを歩みだして以来、同じ声楽教師に師事し、事務所も移籍していない。

- 自分の声は、他のCT歌手と同様、特に声量があるとはいえず、スカラ座、バイエルン国立歌劇場、メトロポリタンなどの大箱で歌うことについては用心している。例えば、ヘンデルのセストは歌うが、ジュリオ・チェーザレを歌うつもりはない。また、同じ懸念から、最近オルフェオ役をキャンセルした。(大規模な劇場で歌うことに困難を感じていなさそうなCTの例として、彼はベジュン・メータの名を挙げた)。




ヴィンチ『アルタセルセ』 コンサート評編

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今年10月にCDをリリースその後
11月初頭のナンシーでのオペラ形式での公演を皮切りに
12月27日までにコンサート形式で各地で
公演の行われたレオナルド・ヴィンチの『アルタセルセ』

ナンシーでの公演のレビューに関しては以前紹介
(・・というか、リンクを貼っただけなのですが)したのですが、
その後のコンサート形式の公演のレビューを
BONNjour様が翻訳してくださいました!
本当にどうも有難うございます!
以下にその訳を掲載させて頂きます。

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シャンゼリゼ劇場 (パリ)
il tenero momento.com
カウンターテナーに新たな時代をもたらした「アルタセルセ」

恐れずに言ってしまおう。バロック音楽愛好家にとって、カウンターテナーは「アルタセルセ以前」と「~以後」に分かれる。そして、次のことも白状してしまおう。メタスタジオによるベストセラー台本(そこから100本以上のオペラが生まれたのだ)をもとに作曲家レオナルド・ヴィンチが書いた最後のオペラ作品は、必ずしも復活が約束されていたものではないということ。それには2つの理由がある。まず、作品そのものの真価(ヴィンチとヘンデルには、大きな隔たりがある)。そして、このオペラは1730年のローマ(女性が舞台で歌うことは禁じられていた)で書かれ、6人の登場人物のうち5人はカストラートが配役されたが、今回はかわりにカウンターテナーが歌ったという事実…。演奏上、単調になるというリスクはなかったのだろうか?ディスクを聴けば、それが杞憂であることとその理由がわかるだろう。この、沸き立つような「アルタセルセ」は、オペラ・セリアとナポリのカストラートたちが巻き起こした熱狂がどのようなものであったかを、もっとも美しい形で示したといえるだろう。カリーナ・ゴーヴァンやジモーネ・ケルメスらによる(はっきり言ってしまうと退屈な)リサイタルは、それに及ばない。ナンシー歌劇場で行われたきらびやかな公演の後、「アルタセルセ」はシャンゼリゼ劇場にやってきて、少々端折った演奏会形式で2度上演される。

ロレーヌの地(訳注:ナンシー)で上演された美しいステージをうらやむ人もいるかもしれないが、パニックを起こしてはいけない。今宵のシャンゼリゼ劇場での上演は、熟練した舞台を見る喜びを与えてくれるものだった。カレスティーニのために書かれ、後にはファリネリが取ってかわることになるアルバーチェ役を演じたフランコ・ファジョーリには、唖然とさせられた。Opera Forumは先日、彼をファリネリに擬して「One God, One Fagioli」と書いたが、これ以上に適切な言葉は見つからない。このアルゼンチン出身のカウンターテナーは、常軌を逸するほどの驚くべき歌唱によって、これまでカウンターテナーが手を出さなかったリスクをあえて引き受けたのだ。彼は1幕目最後のアリア「Vo solcando un mar crudele」で、3点二という高音にまで達した。しかしファジョーリはこれをサーカス芸にはしなかった。イントネーションとドラマ上の存在感も、同様に素晴らしいものだったのだから。話は簡単だ。今宵、ファジョーリは、カストラートが巻き起こす陶酔がどのようなものであったかを、初めて我々に示してくれたのである。プロジェクションの力強さこそカストラートには負けるだろうが、どのみちそれを実際に知っている者はいない。彼は熱狂的な喝采でねぎらわれた。

それ以外のカウンターテナーたちも、期待を裏切ることはなく、2つの挑戦に見事に成功した。つまり、技巧的にはまったく非の打ちどころがなく(疲れている様子もまったくみせず)、各自の声も十分にキャラクターが立ち、それぞれの違いを際立たせた。このプロジェクトの発案者であり、アルバーチェの恋人マンダーネを演じたマックス・エマニュエル・チェンチッチは、冒頭で体調不良がアナウンスされ、二番手の役柄でもあったが、素晴らしい存在感を発揮した。タイトルロールを演じたフィリップ・ジャルスキーは声のプロジェクションが美しく、陰影に富んだ歌唱を披露したが、高音域には少々疲れを感じさせた(彼がこの後、長期休暇を取るのも当然のことだ)。そして、飛びきり優れた新人が2人。アルタセルセの恋人ゼミーラ役にふさわしい甘美な声の持ち主、ヴェラール・バルナ=サバドゥス(彼は要チェックだ)と、裏切り者メガビーゼの残酷さを皆に印象付けることができたユーリ・ミネンコである。5人のカウンターテナーに囲まれて、変化を与える役割をもつテノールのダニエル・ベーレに関しては、ディスクでの歌唱を少々下回る出来であり、出演者の中で唯一、譜面台を前にして歌った(彼だけがフルステージ版のプロダクションに参加していない)。もうひとつ、細かいことを言うならば、シャンゼリゼ劇場は、カウンターテナーおよびコンチェルト・ケルンの陣容(とりわけヴァイオリン)にとっては広すぎる会場であるように思えた。

「アルタセルセ」を単なる名人芸のデモンストレーションに終わらせなかったのは、類まれな才能を持つ指揮者の功績である。この晩のディエゴ・ファゾリスは、きびきびした指揮によって、数々のアリアの持ち味であるゴージャスでパンチのきいた側面を際立たせた。願わくは、パリの劇場がルセ、ロレール、クリスティをローテーションのように起用するのでなく、このスイス人指揮者にフルステージのオペラを振る機会を与えんことを。そしてコンチェルト・ケルンは、ファゾリスが求めることすべてに完璧に応えていた。弾けるような弦と、高らかに鳴り響くトランペット。一瞬たりとも止まることのない音の愉しみ。なんという妙技。

このリスキーなプロジェクトの立役者である、音楽プロダクションのパルナッソス(最近ではヘンデルの「アレッサンドロ」の素晴らしいプロダクションその他も手掛けている)にも讃辞を捧げたい。そしてフランコ・ファジョーリはこのたびナイーブ・レーベルと専属契約を結び、2013年にはカストラートのカファレッリに捧げるディスク、次いでモーツアルト・アルバムが控えている。ヴィンチのアルタセルセを生き返らせるためには、リスクを取ってオペラを上演しなくてはならなかった。今宵、シャンゼリゼ劇場に集結した音楽家たちは、その難題を見事にこなしたのである。

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アン・デア・ウィーン劇場
ル・モンド 2012年12月10日Marie-Aude Roux記者(ウィーン発)
五人のカウンターテナーが非現実の世界に誘う


小ぶりなアン・デア・ウィーン劇場は、興奮した観客で満杯である。11月20日、レオナルド・ヴィンチ(1690-1730、お分かりと思うがあの画家とは別人である)作「アルタセルセ」の珍しい公演が行われた。1730年2月4日にローマで書かれたこのバロック・オペラの「復活」は、その前からすでに噂の的だった。先行発売されたディスク(Virgin Classicsレーベル)の評判は上々だったし、ナンシー歌劇場で11月上旬に上演されたシルヴィウ・プルカレーテ演出、ファリネリを思い起こさせる衣裳のプロダクションも注目を集めた。

しかし、衣裳だけが売り物なのではない。このカンパニーの切り札は、カウンターテナー五人組である。その顔触れは二人のスター歌手、フランス人のフィリップ・ジャルスキーとクロアチア出身マックス・エマニュエル・チェンチッチに加え、スターへの道を歩んでいるアルゼンチン人歌手フランコ・ファジョーリ(2011年にカウンターテナーとして初めて、アッビアーティ賞を受賞)、ルーマニア出身のヴァラール・バルナ・サバドゥス、そしてウクライナ人のユーリ・ミネンコである。ここ15年ほどの間に存在感を増したとはいえ、カウンターテナーという声種は今でもオペラ界では希少種なので、これを知ったら頭がクラクラしてくることだろう。

ピエトロ・メタスタジオの台本に、その友人であるヴィンチが曲をつけたこのオペラは、暗殺されたペルシャの初代の王という歴史上の人物を取り上げたものだ。彼の息子、アルタセルセ(フィリップ・ジャルスキー)が父王を継ぐことになるが、王殺しの謀反人であるアルタバーノ(ダニエル・ベーレ)は、自分の息子アルバーチェ(フランコ・ファジョーリ)を王位につかせようと画策する。それにはアルタセルセをも、亡き者にしなくてはいけないのだ。しかし二人の青年は幼少期からの親友で、互いの妹と恋仲である。アルバーチェはマンダーネ(マックス・エマニュエル・チェンチッチ)を愛し、アルタセルセはゼミーラ(ヴァラール・バルナ・サバドゥス)に求婚している。悪辣なアルタバーノは、そこで将軍メガビーゼ(ユーリ・ミネンコ)に、企みに加担するよう求める。でもご心配なく。三時間後の結末には恋人たちのゴールインあり、一度は成就した復讐と赦しがありで、それらが歌手たちが交互に歌う名人芸的あるいは表情豊かなアリアに乗って展開するのである。

短縮されたバージョン

ウィーンで上演された(後日、パリでも上演される)演奏会形式のバージョンは、大幅にカットされている。カウンターテナーたちは各自が一曲ずつアリアを削られ、レチタティーヴォも短縮された。とはいえ心配は無用だ。情熱的で流麗かつこまやかなディエゴ・ファゾリスの指揮のもと、熟練の音楽家集団であるコンチェルト・ケルンが奏でる音楽に乗って、すべてが稲妻のように駆け抜ける。高音で歌う我らが歌手たちは、名人芸を互いに競い合う。

このアルタセルセというオペラは、五人のカストラートと一人のテノール(ローマ教会は1798年まで、女性が舞台で歌うことを禁じていた)という構成の出演者たちを集めるだけの価値がある作品だ。当時は、ファリネリのライバルとして知られるジョバンニ・カレスティーニや、イル・ジツィエロといったナポリ派の至宝たちがキャストされた。

檻に入った猛獣たち(あるいは小鳥たち)の試合では、栄誉を誰に捧げるかは難しい判断になる。フィリップ・ジャルスキーが自ら呼んだように「悲しき王様」としての彼の役は重要なものではないが、その音楽的直感と輝かしい声は、常に高貴さを放っていた。それ以上に報われるべきなのは、フランコ・ファジョーリが深みのある声と驚異的なテクニックで死守したアルバーチェ役である。ヴァラール・バルナ・サバドゥスの登場は、嬉しい驚きだった。彼には繊細な音楽性が備わっており、時に傲慢な、また時には悲劇的な色合いを付けることを知っている。ユーリ・ミネンコに関しては、大柄な歌手で、ぎごちない動きが気になったが、力強い声と美しい表現力を持っている。

さて、残るはテノールのダニエル・ベーレである。絶対的悪である彼の役には数多くの華麗なアリアが割り当てられているが、ベーレはそれを美声と挑発的なテクニックで歌いきった。カウンターテナーたちとは5対1の勝負だったが、彼は十分に勝っていた。最後にマックス・エマニュエル・チェンチッチ。スタンディング・オベーションと、桟敷席から投げられた三つの花束。彼はそれを、トロフィーのように大事そうに抱えた。

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ケルン歌劇場 (ケルン)

Online Music Magazine
「この晩の最も困難な役は間違いなく、ファジョーリが演じたアルバーチェである。ファジョーリは、きらめくばかりのコロラチューラと、レジスターを縦横自在に変化させる幅広い声域で文字通り、会場を興奮の渦に巻き込んだ。嵐の海に漕ぎ出す水夫のメタファーを使ったアリア "Vo solcando un mar crudele" では、彼は敏捷性に富んだ歌唱で鮮烈な印象を残した。」


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ケルン歌劇場 (ケルン)
Die Welt
「タイトルロールのジャルスキーは少年ぽい澄み切った声で聴衆を魅了。ラインストーンの上着と赤いハーレムパンツに身を包んだ女役のチェンチッチはメタリックな声でドラマチックな感情のほとばしりを表現。上はソプラノに到達する広い声域を持つファジョーリがアルバーチェ役。サバドゥスはヴィブラートのかかった柔らかい声でセミーラのアリアを。そして力強い声のミネンコが5人のCTの声の饗宴を締めくくった」

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ケルン歌劇場 (ケルン)
KlassikInfo.de
バロックのダンディズム

唯一のテノールの役はフアン・サンチョが務めた。しかし5人のカウンターテナーの誰か一人でも抜けたら、かわりに誰を呼んできたらよいのか。代役は、バルトリに入ってもらわなくてはならない。このベルカントの名人芸的なレパートリーを、男性が高音域を使って心穏やかに歌うことは、ほとんど無理というものだ。幸いなことに舞台に穴を空ける者はおらず、アルタセルセ組一同はすべての曲を暗譜し、まったく恐れることなしに、あらゆるテンポ、激情、長い台詞をものにして、完璧なアンサンブルを展開していった。

(中略)

ユニセックスな登場人物たち、すなわち男性役を演じる女性の声をした男たちと、女性役を演じる女性の声を持った男たちが、聴衆を熱狂させた。すでにスターの座にあるフランス人歌手のフィリップ・ジャルスキーは、明るく輝かしい声と完璧な技巧で、タイトルロールを気品をもって演じた。聴衆の寵愛を独り占めにしたのはアルバーチェ役のアルゼンチン人歌手、フランコ・ファジョーリで、その艶のある声は幾分ヴィブラート過剰とも思えるが、素晴らしい中音域と深みのあるバリトン、そしてメゾソプラノ声域を併せ持っている。一方、ミュンヘン育ちの若いルーマニア人、ヴェラール・バルナ=サバドゥスは、明るく機敏な高音の持ち主だが、額にかかった髪の毛をしきりと息で吹き飛ばすという愛らしくも奇妙な癖を見せてくれた。この二人は束の間、この晩の密かなスターとなったが、それはアリアについても同様かもしれない。
(後略)





又、CDは今年のアルバムなどにも選出されております!



リベラシオン・ネクスト 今年のアルバム(クラシック部門)全3枚
http://next.liberation.fr/musique/2012/12/13/classique_867479
「コンチェルト・ケルンと6人の(<=本当は5人)卓越したカウンターテナーが世界初録音した、このナポリ派の珠玉オペラは、アルゼンチン人のファジョーリの深みがある琥珀色の声と、ウクライナ出身ミネンコの硬質で澄んだ声を得て、声楽分野で今年を代表する演奏となった」(訳及び、括弧内注 BONNjour様)


Le Devoir 紙(カナダの新聞のようです) 2012年クラシックアルバムベスト10
http://www.ledevoir.com/culture/musique/366839/les-dix-meilleurs-disques-classiques-de-2012



ヴィンチ『アルタセルセ』実演鑑賞編

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さて、いよいよ!
実演を鑑賞なさった方々のブログ記事やツイッターでの呟きをご紹介したいと思います。

他にもご覧になった方がいらっしゃるので、
おって追加したいと思います。

ナンシーのロレーヌ歌劇場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2012.11.4鑑賞 ナンシーのロレーヌ劇場 (オペラ形式) lotus-eater様
Artaserse/ Opéra n. de Lorraine Nancy 4. Nov. 2012
ドイツ語のブログですがカーテンコールの写真が沢山載ってます♪
 
2012.11.6鑑賞 ナンシーのロレーヌ歌劇場 (オペラ形式) BONNjour
5人のカウンターテナーを追っかけてナンシーまで: ロレーヌ国立歌劇場の「アルタセルセ」を観る あらすじ有り!
2012.11.8鑑賞 ナンシーのロレーヌ歌劇場 BONNjour様
5人のカウンターテナーを追っかけてナンシーまで (続編):「アルタセルセ」公演再訪 

 その他直接公演についてでは無いですが
    ナンシー歌劇場「アルタセルセ」をライブ放映
    ナンシーの旅 雑記帳 劇場の内部写真など
    ロレーヌで生まれてナポリで活躍したカタストロフィ画家 
           セットに使われている美術について
    異性装する役者たち-Chantal Aubry著「La femme et le travesti」を斜め読み

 などなど、「アルタセルセ」から派生した記事が盛り沢山です♪


アン・デア・ウィーン劇場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

2012.11.20鑑賞 アン・デア・ウィーン劇場 (コンサート形式)
高松久美様の呟き
「コンサート様式のArtaserse をTheater en der Wienに観に行った。メタスタージオの脚本にレオナルド・ヴィンチの作曲ということで、六人全員が男性で一人のテノール以外は全員カウンターテノールというナポリ学派のバロック・オペラの様式を継承したものだった。」

「勿論カストラートの存在がないので、全くのナポリタン・オペラの追体験という具合にはいかないが、伴奏はDiego Fasolis率いるConcerto Kölnによるバロック楽器の演奏によるもので充分にオーセンティックな雰囲気を味わうことが出来た。歌手はいずれも劣らぬ粒ぞろいで圧巻!」

「鳴り止まぬ拍手に異例のアンコールで答え、ようやく退場するとその後観客はしぶしぶ劇場を後にしていた。劇場を出るいずれの顔にも満足の笑みが浮かんでいた。 私も寒さを忘れ岐路に着いた。Jarousskyは初めて直に聴くことが出来たが、高貴な透き通った声と高い技術に人気の秘密を見出す」

「しかし私の一番印象に残ったのは、Franco Fagioli と Max Emanuel Cencicであった。前者はまた来年も何回かTheater en der Wienに戻ってくるようなので、時間が合えば是非またあの高い技術に支えられた美しい歌声を聴きに行きたい。」

ローザンヌ歌劇場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012.11.23鑑賞 ローザンヌ歌劇場 (コンサート形式)

ぷーいち様の呟き
「アルタセルセ、無事平土間ゲット。そして1幕終了。ファジョーリ、まじ神だ!!!驚愕の公演です。」

「アルタセルセ終了!神ファジョーリを筆頭に5人のカウンターテノールが乱れ咲きのまさに奇跡の公演!無理して旅程を一日延ばしてローザンヌに来た甲斐がありました!ミンコのホフマン以来10年ぶりのこの地。完売でギリギリまで焦りましたがchercheに成功し、またミューズに救われました。」

「ローザンヌのアルタセルセ、ゼミーラのVALERが登場のタイミングを間違え、慌ててファゾリスが押し戻し場内大爆笑。ツェンチッチの黄色い叫び声にもまた爆笑。ノリノリのお客も大興奮。アンコールのコーラスにはファゾリスもバリトンで参加。素晴らしい指揮だったが見た目はやや井上ミッチー爆。」

「@_alcina ファジョーリ、夏のタメルラーノでは役のせいとベジュンと大プラシドに美味しいところを全て持って行かれ、真価が今ひとつ分からずでしたが、カストラートの大花形役アルバーチェだと驚異のアジリタ、超高音から低音までの広いテッシトゥーラでの滑らかな発声にノックアウトでした。」

「@_alcina それにしてもあの若きフルトヴェングラーみたいな容姿(失礼)からあれほどの声が出るとは!これまで聴いてきた生の声の中でも最も驚くべき声の一つです!人間離れしてるという意味でまさに髪…いや、神。ローザンヌの聴衆の盛り上がりも尋常でなく、ジャルスキもさすがに霞むほど。」

(注・@_alcinaがついているのは私の話しかけに答えてくださっているものです)

シャンゼリゼ劇場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012.12.13 シャンゼリゼ劇場 (コンサート形式)
 
2012.12.15 シャンゼリゼ劇場 (コンサート形式)

ケルン歌劇場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012.12.17 ケルン歌劇場 (コンサート形式) レイネ
『アルタセルセ』@ケルン初日は、白白歌合戦の趣で白組の勝ち 
サイン会の写真やファジョーリとの会話の内容あり!

2012.12.17 ケルン歌劇場 (コンサート形式) sarahoctavian

2012.12.27 ケルン歌劇場 (コンサート形式) Mevrouw
アルタセルセ@Oper Köln am Dom
サインの写真、食べ物の喩えあり!

2012.12.27 ケルン歌劇場 (コンサート形式) galahadgrail
驚異のカウンターテナーズ&テノール Artaserse@Koeln Oper 27.12.2012
サイン会の写真、サインの写真あり!


フランコ・ファジョーリ メディア関連

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本日11/8フランクフルト歌劇場
http://www.oper-frankfurt.de/de/page19.cfm?news=243
11/10はパリのサル・ガヴォー
http://lesgrandesvoix.fr/franco-fagioli-2/#more-3320
フランコ・ファジョーリのリサイタルがありますが、



それに先立って・・
フランスの新聞リベラシオンLibération)に特集(?)記事が載りました

“Fagioli, mezzo au masculin”
http://www.liberation.fr/culture/2013/01/06/fagioli-mezzo-au-masculin_871980

“Les contre-tenors imposent leur timbre”
Du pionnier Alfred Deller à Franco Fagioli, retour sur cinquante ans de voix de tête.
http://www.liberation.fr/culture/2013/01/06/les-contre-tenors-imposent-leur-timbre_871967


お金を払わないと全文が読めないのですが、
フランスの放送局 france musiqueにもリベラシオンで取り上げられている事が
言及されております。
http://sites.radiofrance.fr/francemusique/actualite/article.php?postID=5659

Dans Libération, aujourd’hui, une double page pour le contre Ténor Argentin Franco Fagioli qui déclence les cris d’hystérie habituellement réservés aux concerts de rock, écrit Eric Dahan. La perfection technique et la musicalité de son chant laissent rêveurs. Ça ne fait pas de lui un rival de Jarousski ou Cencic mais plutôt de Cécilia Bartoli.

リベラシオンは今日、通常ロックコンサートで見られるような興奮の叫びを引き起こすアルゼンチン人のフランコ・ファジョーリについて2頁にわたって取り上げた。著者はEric Dahan。
彼の声の完璧なテクニックと音楽性は夢見心地にさせる。それが彼をジャルスキーチェンチッチではなく、チェチーリア・バルトリのライバルにさせる。
(あってるかな??)

詳しくは
こちら
“Fagioli, mezzo au masculin”
http://lesgrandesvoix.fr/wp-content/uploads/2013/01/fagioli-lib%C3%A9ration-1-e1357570906989.jpeg
http://lesgrandesvoix.fr/wp-content/uploads/2013/01/fagioli-lib%C3%A9ration-3-e1357571386919.jpeg

“Les contre-tenors imposent leur timbre”
http://lesgrandesvoix.fr/wp-content/uploads/2013/01/fagioli-lib%C3%A9ration-2-e1357571185697.jpeg

追って、又BONNjour様が訳してくださるとの事でしたが、コンサートが間近なので
取り急ぎ取り上げさせてもらいました♪

又、イギリスの雑誌 Opera Now 2月号にもインタビューが掲載されるようです
http://www.rhinegold.co.uk/magazines/opera_now/editorial/opera_now_editorial.asp?css=1




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Festival de Froville

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フランスのフロヴィルという町で開催される
古楽音楽祭のスケジュールが発表されておりました♪

http://www.festivaldefroville.com/ いきなり音が鳴るので要注意!!


2013.5.19 ジョルディ・サヴァール Jordi Savall

2013.5.24 ヴェラール・バルナ=サバドゥス 
                   w/イル・ポモドーロ 指揮リッカルド・ミナージ
       Valer Barna Sabadus /Il Pomo d’Oro /dir Riccardo Minasi

2013.6.1  ル・パレ・ロワイヤル Le Palais Royal
       メサイアHWV56 主は言われたHWV232 
       Messiah HWV56 Dixit DominusHWV232

2013.6.22 ポール・アグニュー Paul Agnew 
               ジョン・ダウランド J.Dowland

2013.6.22 マックス・エマニュエル・チェンチッチ 
                    w/イル・ポモドーロ 指揮リッカルド・ミナージ
              ヴェネツィア Venezia 
              Max Emanuel Cencic /Il Pomo d’Oro /dir Riccardo Minasi
               
2013.6.29  アンサンブル・マテウス 指揮クリストフ・スピノジ
         Ensemble Matheus  /dir. Jean-Christophe Spinosi

2013.7.6  デヴィッド・ハンセン 
                     w/アカデミア・モンティス・レガリス 指揮アレッサンドロ・デ・マルキ
       ファリネッリと彼のライバル Farinelli et ses Rivaux 
             David Hansen /Academia Montis Regalis /dir. Alessandro De Marchi
             
2013.7.7  フランコ・ファジョーリ 
                      w/アカデミア・モンティス・レガリス 指揮アレッサンドロ・デ・マルキ
       カッファレッリ Caffarelli
              Franco Fagioli /Academia Montis Regalis /dir. Alessandro De Marchi
       
2013.7.14 Le Concert de l'Hostel Dieu
             ヴィヴァルディのミューズ (昨年の勝者によるコンサート)


とても行けそうにない音楽祭なのですが・・
7/6と7/7のデヴィッド・ハンセンとフランコ・ファジョーリのコンサート
興味深いですね!!
同じオケ、指揮者で内容が
デヴィッド・ハンセンが『ファリネッリと彼のライバル』
フランコ・ファジョーリが『カッファレッリ』 です!!
ああ♪聴きたいな~!!

ちょっと珍しい、モーツァルト『フィガロの結婚』ケルビーノを
カウンター・テナーのデヴィッド・ハンセンが歌っている動画
Voi che sapete


ラジオ放送予定

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去年さんざん騒いだレオナルド・ヴィンチ『アルタセルセ』・・・ですが、
ローザンヌで行われた、コンサート形式公演の
ラジオの放送があるのでご案内。

既に年末にスイスのespace2でも放送が有り、聴いたのですが
若干、レチタティーボやアリアのカットはあるものの、
CDよりももっとテンションが高く、演奏も速め、
又、オペラ形式とは違い、演出に縛られない事もあり、
自由度の高い、そしてエキサイティングな演奏になっておりました。

CDを聴いた時は指揮がディエゴ・ファソリスなのに
彼のエキサイティングな指揮よりも、
歌手の方が私にとっては印象が強かったのですが、
この公演ではファソリスらしいノリもあります。

歌に関しては
個人的にはどうしてもフランコ・ファジョーリが好きなので
彼を中心に聴いてしまうのですが、
ファジョーリのドラマを引っ張る力!
又、レチタティーボで彼がCDとは異なる新たな表現を加えると、
他の歌手達もそれに呼応して、
まるでジャズの即興演奏のようなノリをも感じました。

又、アリアに関してもファジョーリとバルナ=サバドゥスの2人は
装飾音系のテクニックがあるので、
この2人、まるでダ・カーポ合戦のような趣。
(当然ですがCDとは異なる装飾です)

・・・と、大変オススメの演奏になっておりますので
CDをお持ちの方も機会があれば是非聴いてみていただきたいな、
と感じました。
多分、生で聴かなくても、オンデマンドで暫く聴けるようになるのではないかと
思います。

放送は
France musique 2012.1.12 19:08~23:00 (日本時間 翌13日3:08~7:00)
http://sites.radiofrance.fr/francemusique/em/soirees_lyriques/emission.php?e_id=26&d_id=515004981 で。

レオナルド・ヴィンチ 『アルタセルセ』
2012.11.25のローザンヌ歌劇場での公演
指揮 ディエゴ・ファソリス
演奏 コンチェルト・ケルン

アルタセルセ フィリップ・ジャルスキー
マンダーネ マックス・エマニュエル・チェンチッチ
アルバーチェ フランコ・ファジョーリ
アルタバーノ ダニエル・ベーレ
セミーラ ヴェラール・バルナ=サバドゥス
メガビーゼ ユーリィ・ミネンコ







『カルメン』 スカラ座2009 BSプレミアムシアター ~魔性の女は魔女なのか?~

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先日BSプレミアムシアターで放送していた
スカラ座の2009年公演、ビゼー『カルメン』を見ました。

カルメン アニタ・ラチヴェリシュヴィリ Anita Rachvelishvili
ドン・ホセ ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann
エスカミーリョ アーウィン・シュロット Erwin Schrott
ミカエラ アドリアーナ・ダマート Adriana Damato

指揮 ダニエル・バレンボイム Daniel Barenboim
演奏 ミラノ・スカラ座管弦楽団
演出 エンマ・ダンテ Emma Dante

なかなか演出が面白く、一部箇所は爆笑しながら観てしまった今回の『カルメン』。

魔性の女」という言葉があるけれどそれは魔女の事なのか??など、とも感じたり・・・
英語だとenchantressという単語は
やはり「魔女」という意味と「魅力的な女」という意味があるようですね・・
(他にも類義語はありそうですが・・)


それでは本題・・・・

前奏曲の所から舞台上で意味不明な動きをする人たちがいて、なんだろうな?
と思いつつ見始めました。

そして煙草工場の女性たちの喧嘩のシーンになっていきなり!
まるで悪魔が取り憑いたようなタバコ工場の女工達の激しい動きに呆然としました・・・
そういえば、前奏曲の意味不明な動きの中に
盛んに十字を切る女性たちの一団がいました。
他にも産気づく妊婦とか・・・

なんだ、これ・・(笑)
もしかして、オカルト映画的な演出なのかしら???と・・
確かにカルメンのセリフ中には盛んに悪魔だとか魔女だという言葉やなんて言葉も
出ては来るのですが・・・

その後も「悪魔」を気にしながら見続けたせいなのか何なのか
やたら宗教的なモチーフが出てきたのが気になりました。

確か、ミカエラが手紙を持ってきてドン・ホセとデュエットするシーンでは
後ろで、兵隊達が懺悔をしていたり、
エスカミーリョの登場シーンも宗教的な服装をした人と一緒に登場したりしていましたし。
十字架も折りにふれて出てきました。

そして3幕!
ミカエラがドン・ホセを説得しにくるシーン。
案内役は聖職者でしたし、冒頭から「悪魔」というイメージに取り憑かれた私は
もうミカエラが悪魔と対峙するエクソシスト(祓魔師)にしか見えませんでした(笑)
説得するうちにミカエラがいつの間にかドン・ホセの母親になって(?)
ベッドに横たわっているし(爆)怖すぎるw

そういえば、ミカエラは第1幕の手紙のシーンでは
いきなり花嫁姿に変貌していた!!

他にもエスカミーリョのトレアドールでは牛が血を流して横たわっている写真が
登場しましたが、その後に十字架に架かったお腹から血を流している
キリストなども出てきたり・・・

細かく見ると色々と意味がありそうな印象を持ちました。

さて、今回の演出を見ながら気がついたこと・・・
このオペラの男性登場人物の中ではドン・ホセが一番危険な男だという事。
今まで、オペラ『カルメン』のドン・ホセという役はカルメンという悪い女に
人生を狂わされる、どちらかというと素朴な感じの男性だと思っていたのですが、
んーー、ちょっと違うようだ。

例えば、ドン・ホセとエスカミーリョの決闘シーンでは、
エスカミーリョは結果が見えた時点で決闘をお終いにしようとしているのに
ドン・ホセは最後までやらずにはいられない性格なんですね・・・

そのように考えると、その後カルメンがドン・ホセに殺されると予感するシーンも
なんとなく印象が違ってくるかな・・と思いました。
カルメンは常にドン・ホセと男性との喧嘩を止めに入っていますが
カッとなると止められないドン・ホセの性格をよく理解していたのではないか。

他にもミカエラが盛んに言っている
「お母さんがドン・ホセのことを許したがっている」という事も気になったので
メリメの『カルメン』も読み返して見ました。

原作によるとドン・ホセはドンという称号の付く身分の家柄の出身ではあるが
喧嘩をして(もしかしたらその時に人を殺している)、地元にいられなくなり、
その後入隊しているようで、
自分がカルメンの在する密輸団の人間に一目置かれているのは人を殺しているからだ・・
とも答えてます。

そして、原作の中にも悪魔だとか十字を切るという言葉が出てきました。
カルメンの事を、あんな女を見たら十字を切らずにいられない・・などというように。

私自身は今回のオペラの演出意図を完全には理解出来てないのではありますが、
新たな見方を与えてくれたという意味では良かったなと思いました。

音楽的には演奏も歌手も・・・まあ・・


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『タンホイザー』 @新国立劇場

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新国立劇場公演 New National Theatre,Tokyo
ワーグナー 『タンホイザー』 R.Wagner "Tannhäuser” 
                            2013.2.5 マチネ

指揮 コンスタンティン・トリンクス Constantin Trinks
演出 ハンス=ペーター・レーマン
美術・衣裳 オラフ・ツォンベック
照明 立田雄士
振付 メメット・バルカン

領主へルマン クリスティン・ジグムンドソン Kristinn Sigmundsson
タンホイザー スティー・アナセン Stig Andersen
ヴォルフラム ヨッヘン・クプファー Jochen Kupfer

ヴァルター 望月哲也
ビーテルロフ 小森輝彦
ハインリヒ 鈴木准
ラインマル 斉木健詞
エリーザベト ミーガン・ミラー Meagan Miller
ヴェーヌス エレナ・ツィトコーワ Elena Zhidkova
牧童 国光ともこ
4人の小姓  前川依子
       渡邉早貴子
       熊井千春
       長澤美希

管弦楽 東京交響楽団
合唱指揮 三沢洋史
合唱 新国立劇場合唱団



劇場に着く直前、猛烈な睡魔に襲われてしまい・・・
公演の中身がどうこう・・・という事でなく最初から最後までかなり
ウトウトしながら見てしまったため、書くのを躊躇いましたが
まあ、備忘録という意味もあるので・・・・

私が聴きに行ったのは最終日。
ちらほら否定的な意見を聞いていたので覚悟をしたはいたのですが・・・

タンホイザー役のスティー・アナセンは良かったと思います。
まあ、風邪をひいた・・とは聴いていたので
公演前半ではどうだったのかは全く分からないですし、
実際にところどころ声が出ていない・・
と感じる部分はかなり有ったので、良かったとは言い切れないのですが、
今回出演した歌手の中では一番良かったです。
彼だけ「歌」になっていると感じました。
とはいえ・・ワーグナーの様式感が良く分からないので
こういう歌い方だと少しイタリアっぽかったりもするのだろうか・・??
などとも思ったり・・・

後は見た目もなかなカッコいいヴォルフラムのヨッヘン・クプファー
第1幕では期待が持てそう!(ワクワク)と感じましたが、その後はそうでもなかった・・・
・・でも、頭の片隅には一応名前を覚えておこうかな・・・???

指揮者のコンスタンティン・トリンクス
割合とあっさりした演奏なのではないかと思いますが、嫌いではないです。
まあ、でも寝ていたのであまりよく分からない(笑)

あとは新国立劇場合唱団!素晴らしいです!
全体的に面白い公演ではなかったとは思うのですが(寝てたので不明)
それを忘れさせてくれる最後の合唱!ブラヴォ!





『超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか』  リチャード・ワイズマン博士著

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超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか/文藝春秋
¥1,628
Amazon.co.jp

サブタイトルが -なぜ人は幽霊が見えるのか- となっているが、
取り上げられている内容は幽霊の話だけではなく
占い、幽体離脱、念力、霊媒師、幽霊、マインドコントロール、予知能力
についてである。

著者は元々マジシャンであるということだが、心理学の教授でもある。

本書を読んでみて・・
超常現象について研究をしている学者が結構いる事に驚かされた。
(といっても基本的には超常現象を信じて・・・ではありませんが・・)

それはともかく・・

大雑把に言ってしまうと、

暗示にかかりやすい人、
想像力の強い人、

が幽霊を見たり、幽体離脱を体験し易いようですね。

全く幽霊の噂の無い土地に幽霊話を作り上げ、BBCで放送した所
そのでっち上げの話に準じた幽霊を見たという人が現れた事例なども紹介されていました。

又、「幽霊とは無縁の家で起きたできごとの記録」(ジェームズ・フーラン・心理学者)という
タイトルの論文の紹介も・・・

それから、人間は何かと関連付けて物を考えやすい傾向があるようで、
ただの物音でも、何か意味のある事のように考えてしまったり・・

又、その無意味な物にも人間的な行動を見ようとしてしまう傾向があるようです。

例えば、只の "□ △ ○” といったような図形が動いている動画があったとしても
□が △に恋をして○が・・・といったように・・・

他にも興味深かったのは

コックリさんで手が自然に動いてしまう原理と
バンカーに玉を入れたくないと思うとバンカーに玉が入ってしまう原理が
同じだということ・・・(笑)


「スピリチュアリズムは、最もたちの悪いいかさまです」
     ・・・・スピリチュアリズムの創始者フォックス姉妹   (131ページ)

このフォックス姉妹が、
子供の頃、物音を立てて、まるで何かがいるかのようにいたずらをしたのが
このスピリチュアリズムのきっかけになったようです。

“心理学から言うと、スピリチュアリズムの設立はまさに天才的なアイディアだった。既存の教会は信仰の重要性を訴えて、合理主義の新勢力と戦ったが、スピリチュアリズムは宗教のあり方そのものを変えた。科学やテクノロジーにとり憑かれた時代に、スピリチュアリズムは人がその死後も生き続ける証拠をもたらしたばかりか、愛する故人との交信を可能にしたのだ。ほかの宗教は、死後の命をほとんど約束していない。かたやスピリチュアリズムは、可能性をたっぷりあたえた。それが理性と感情の両方に訴える力は絶大であり、二、三か月のあいだにこの信仰宗教はアメリカ全土を席巻した。” (138ページより引用)

スピリチュアリズムという物については全く知らないのですが、
上記のような文章を読むと、似たような物は現代にも沢山あるな・・と感じます。
だまされないように気をつけないと・・


本書の中には
幽体離脱が出来るようになる方法やら、
暗示にかかりやすいかどうかを見極める方法なども紹介されております。

フランコ・ファジョーリ インタビュー 「オペラ・ナウ」 2月号

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この所ずっと翻訳でお世話になっている Bonn-jour様が、
イギリスのオペラ雑誌 Opera Now 2月号のフランコ・ファジョーリの
インタビュー記事をまたまた翻訳してくださいました!!!!!!

Bonn-jourさん、どうもありがとう!!!!!

それでは・・・・・




OPERA Now 2013年 2月号 フランコ・ファジョーリ インタビュー

この声と歩む人生    フランコ・ファジョーリ

アルゼンチン出身のカウンターテナー、フランコ・ファジョーリは、ナンシー歌劇場でレオナルド・ヴィンチの遺作となったオペラ「アルタセルセ」に出演し、割れんばかりの喝采を受けた。彼は、このオペラにカルト的な魅力を与えたのだ。そして最近、パリのシャンゼリゼ劇場で、ファジョーリと4人のカウンターテナー・スター歌手が揃い踏みした最高のキャストは、満場の観客からさらに熱狂的な賛同を勝ち取った。驚異的な声でライバルを足元にも寄せ付けない歌手、ファジョーリを、フランシス・カーリン記者がインタビューした。

Opera Now:まず、ご自分のバックグラウンドからお話しいただきましょうか。ファジョーリさんは、スペインとアルゼンチンのハーフだと聞きましたが・・・。

フランコ・ファジョーリ:ええと、苗字からお分かりの通り、イタリアの血も入っているんです。ですから3分の1ずつということになりますね。1981年にトゥクマンという、ブエノスアイレスから北に1,200キロの町で生まれました。僕の家族は大の音楽愛好家でして、民謡をよく歌ってましたが、クラシックとは縁がなかったのです。祖母が音楽の基礎を手ほどきしてくれましたが、もう高齢だったので、それ以上のことはありませんでした。

ON : それでは、どのようにしてクラシックの道に入ったのでしょう?

FF : 8歳の時、地元の大学に付属する児童合唱団に入りました。これは宗教とは無縁の合唱団です。アルゼンチンには、宗教系の合唱団の伝統はないんですね(とはいえ10代の頃、自分で聖歌隊を結成しましたが)。14歳まではボーイソプラノとしてソロを歌い、「魔笛」の3人の童子の一人もやりました。その間にピアノも始めまして、声変わりした後はピアニストとして合唱団に残りました。16歳の時に自分の合唱団を結成したんですが、指揮と平行して歌も歌い、ソプラノ、アルト、テノール、そしてバスのパートまでやりました!その頃、自分の頭声はなかなかのものだということに気付いたのです。

ON : つまりファルセットということですか?

FF : ファルセット(訳注:語源は「偽りの声」)という言葉は、偽物のように聞こえるので好きではありません。専門用語としても適切ではないと思います。僕たちカウンターテナーが使うテクニックは、頭声と呼ぶほうがいいですね。つまり、胸声と頭声があるわけです。

ON : その当時、ご自分のカウンターテナー・ボイスには気付いてましたか?

FF : 最初は気付きませんでした。ピアノに力を入れていたので。けれども常に、自分の声で歌ったり、ふざけたりしていました。声変わりはしたけれど、実際には高音が残っていたのです。当時は、自分が女性の真似をしていると思っていました。カウンターテナーが本物の声域であることを知らなかったのです。そしてある日、ペルゴレージのスターバト・マーテルのCDを買いに行き、エマ・カークビーとジェイムズ・ボウマンのCDを見つけました。その時、思ったんです。「でもこれは、男性が歌ってるぞ。アルト・パートは男だ!」って。もうびっくりしてしまって、そのCDを買い、家に帰って聴いてみると、ボウマンがやっているのは自分と同じことだと分かりました。じゃあ僕もカウンターテナーになれるぞ。ピンときた瞬間でした。

そしてトゥクマンで声楽の勉強をしてからブエノスアイレスに移りました。僕はテアトロ・コロン付属芸術学校に入学を許された、初めてのカウンターテナーでした。

ON : あなたの声種に対して、どんな反応がありましたか?ご家族は驚きましたか?

FF : ええ、母は少々ね。僕がこの声を使ってふざけていた頃、母は、そんなことをしたら声が潰れてしまうと注意したものです。何か間違ったことをしていると思っていたんですね。けれど、後になってカウンターテナー唱法を知ってからは、母はとても乗り気になりました。でも、僕たちの住む世界、あるいはアルゼンチンではカウンターテナーという声楽の様式を誰も知らないので、用心しなくちゃいけないと言われました。

初めて公の場で歌ったとき、聴衆は驚きましたとも。ヘンデルのDixit Dominus(『主は言われた』) のアルト・ソロでしたが。そして、モーツアルトのハ短調ミサ曲のメゾ・パートを歌った時は、もっと驚いたと思います。かなり高い音域なのでね。これでお分かりのように、僕の声はメゾ・ソプラノなんです。それが僕の声域で音色というわけです。

ON : ナンシーであなたが歌うのを聴いて、隣の席にいた人に、そのうちシュトラウスの『薔薇の騎士』のオクタヴィアンを歌うようになるんじゃないか、なんて冗談を飛ばしてしまいました

FF : いえ、それは絶対にありません!真っ平御免ですよ!あの役をやる人は他に沢山いますから、僕が進出する理由はない。けれど、メゾ・ソプラノのために書かれたヘンゼル役(訳注:フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』)を、ブエノスアイレスのテアトロ・コロンで歌いました。

ON : 皆はあなたをチェチーリア・バルトリになぞらえますが、「女性的」な音色を出そうと努力しているのでしょうか?

FF : これは音色が男性的か女性的かということでなく、テクニックの問題だと思います。もし僕の声がチェチーリア・バルトリに似ているとしたら、それは僕が使うテクニックのせいです。

バルトリさんとは何度か共演しました。最初は2005年の『ジュリオ・チェーザレ』で、指揮はマルク・ミンコフスキでした。チェーザレは好きな役の一つです。音域は低いけれど、それは僕にとって問題ではありません。高音を出すだけで幸せ、というわけではないのです。僕は、高音であろうが低音であろうが、メゾの声域で歌うことが好きなんです。ジェニファー・ラムアもチェーザレを録音してますよね。そして僕はバロック・ピッチが好きです。もちろん、音程が低くなりますが。

アルト・パートを続けていきたいと思っています。それがテクニック的にも有益で、声を適切な音域に留めてくれるので。僕の胸声は強靭ですが、それはイタリア式のテクニックを学んだからです。

ON : あなたの声域は、とても広いですよね。

FF : そうですね、低いA(A3)からアルトのD(D6)まであります。『アルタセルセ』ではその最高音を出し、低い方はG(G3)まで行きました。ヴィンチがアルバーチェ役に与えた音域は、かなり狭いんですが、装飾音を付けることで、僕は上下に音域を伸ばしたんです。だって、出演料を頂かなくちゃなりませんからね!

ON: 今後歌う予定の役は?

FF : 今のところはアルタセルセを沢山歌う予定です。というのも、僕はファリネリのためにハッセが書いたアルタセルセも歌っているんです。なので、バロック作品が多くなると思いますが、モーツアルトもやりますよ。2014年にはナンシーで『皇帝ティートの慈悲』のセストを歌う予定で、これがロール・デビューになります。この役については、まだオペラ全曲を通して歌ったことはありません。

ON : 他のカウンターテナーのように、リサイタルのレパートリーを広げてみたいと思いますか? 例えばフランス歌曲を歌うフィリップ・ジャルスキーとか、リート集を録音したデイヴィッド・ダニエルズのように

FF : 常々言っていることなのですが、自分の声に合ったものなら、なんでも歌ってみたいと考えています。音楽は音楽ですからね。もちろん、『ウェルテル』のシャルロットとか、カルメンとか、チェネレントラといった役は、絶対にやりませんけれど。でも歌曲は沢山ありますよね。それを歌わない手はありません。歌曲は特定の声種のために書かれたものではないですからね。けれど、レパートリーの点では、バロックから、ベッリーニ、ロッシーニ、ドニゼッティあたりの、僕が大好きなベルカントの間になります。

ON : オペラとリサイタル、どちらがお好きですか?

FF : どちらをやるのも好きです。コンサートでは、聴衆と出会い、彼らのために音楽をやる。つまり、コンタクトはより直接的です。怖気づかせるような感じがするかもしれないけれど、聴衆は歌を聴きに来ているのであって殺しに来てるわけじゃない。他にすることが沢山ある中で、コンサートを選んでくれたんです。僕は、このコンタクトが好きです。

ON : 近い将来、指揮をする予定は?

FF : そうですね、合唱団を指揮した経験があるのですから、またやったっていいですよね。歌うのをやめてからの話になりますが。大事なのは、パートが何であろうと、僕は皆と一緒に音楽をやるのが好きだということです。『アルタセルセ』では、僕は5人のカウンターテナーの一人でしたが、本当に和気あいあいと仕事ができました。ナンシーで上演したフルステージ版の公演をまたやるために、同じメンバーで集合するという話もあるんですよ。おそらく、ヴェルサイユとアムステルダムで。



フランコ・ファジョーリ スケジュール

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レイネ様が今年はカウンターテノール・ルネッサンスと題して
気になるカウンターテナーのスケジュールをまとめてらっしゃっていたので
便乗して私はフランコ・ファジョーリに特化して書きたい・・
と思って書き始めたのですが、だいぶ遅くなってしまいました・・


上記のメッセージボードにも書いてはあるのですがもう少し詳しく・・
記録の為に過ぎたものも・・

1月8日  リサイタル フランクフルト歌劇場
   カンツォーネとカンターテ
       【Lu.】ルーカ・ピアンカ
       【Cem.】ジェレミー・ジョセフ
       【Vc.】マルコ・フレッザート

1月10日 リサイタル サル・ガヴォー(パリ)
   カンツォーネとカンターテ
       【Lu.】ルーカ・ピアンカ
       【Cem.】ジェレミー・ジョセフ
       【Vc.】マルコ・フレッザー

2月22日 ポルポラ 『ポリフェーモ』アチ (アン・デア・ウィーン劇場)
       【指揮】 ルベン・ドゥブロフスキー
       【管弦楽】 バッハ・コンソート・ウィーン
       【アチ】 フランコ・ファジョーリ
       【ウリッセ】 シャビエル・サーバタ
       【ポリフェーモ】 クリスチャン・セン
       【ガラテア】 ラウラ・アイキン
       【ネレア】 ハンナ・ヘルフルトナー
       【カリプソ】 マリー=エレン・ネジ

3月12日 リサイタル (チューリヒ・トーンハレ大ホール)
   A・スカルラッティ カンタータ«La Fenice»
   ヘンデル カンタータ«Dolc' è pur d'amor l'affano» HWV 109
   A・スカルラッティ カンタータ«L'Orfeo»
   ヴィヴァルディ カンタータ«Pianti, sospiri e dimandar mercede» RV 676
   ヴィヴァルディ カンタータ«Cessate, ormai cessate» RV 684  他
       【Vn.】 ウィリー・ツィンマーマン
       【Vc.】 ニコラ・モシュカ
       【Cemb.】 北谷直樹
       【Lu.】 エマニュエル・フォルニ
       【Vn】. 希生ザイラー

3月24日 リサイタル (カーサ・ダ・ムジカ)ポルトガル
       【指揮】 リッカルド・ミナージ
       【管弦楽】 Orquestra Barocca Casa da Musica

3月27日 ヘンデル 『ソロモン』ソロモン (アン・デア・ウィーン劇場)
       【指揮】 マルティン・ハーゼルベック
       【管弦楽】 Orchester Wiener Akademie
       【ソロモン】 フランコ・ファジョーリ
       【ソロモン王の王妃】 キルステン・ブレイズ
       【シバの女王】 ベルナルダ・ボブロ
       【ザドク】 ジェイムス・オックスリー
       【レビ】 ギュンター・ハルメル
       【第一の遊女】 Agnes Scheibelreiter
       【第二の遊女】 Ida Aldrian

5月19日 ヨンメッリ "ISACCO, FIGURA DEL REDENTORE" ザルツブルグ聖霊降臨祭
       【指揮】 ディエゴ・ファソリス
       【管弦楽】 イ・バロッキスティ
       【イサク】 フランコ・ファジョーリ
       【サラ】 ロベルタ・インヴェルニッツィ
             【アブラハム】 ハビエル・カマレナ

5月25日 コンサート ドイツエイズ基金オペラ・ガラ・コンサート (オペラ・ボン)
       【指揮】 ラニ・カルデロン
       【管弦楽】 オーケストラ・ボン
       【Sp.】 ヌリア・リアル
       【Tr】. ハビエル・カマレナ
       【Sp.】 ロクサーナ・コンスタンティネスク
       【CT】 フランコ・ファジョーリ 他


6月6日 ハレ・ヘンデル・フェスティバル オフィシャル・オープニング・コンサート
       【指揮】 ベルントハルト・フォーク

6月13日 ヘンデル 『ロデリンダ』 クラクフ
       【指揮】 Jan Tomasz Adamus   
              【演奏】 Capella Cracoviensis 

6月29日 リサイタル モンドヴィ(伊)
   サリエリとモーツァルト
       【指揮】 アレッサンドロ・デ・マルキ
       【演奏】 アカデミア・モンティス・レガリス

7月7日 リサイタル フロヴィル音楽祭(仏) 注意・音が鳴ります
   ポルポラ
       【指揮】 アレッサンドロ・デ・マルキ
       【演奏】 アカデミア・モンティス・レガリス

8月12日 リサイタル トロエッラ音楽祭(西)
   カンツォーネとカンターテ 
       【Lu.】ルーカ・ピアンカ
              【Cem.】リカルド・ドニ
       【Vc.】マルコ・フレッザート

8月24日 ベルン歌劇場 オープニングコンサート(瑞)

10月24,26,28,30日 ヘンデル『セメレ』 ミュンヘン・クヴィリエ劇場

12月21日 リサイタル ブロツワフ(波)
        【指揮】 Ruben Dubrovsky


2014年
モーツァルト『皇帝ティートの慈悲』セスト (ナンシー)





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マルク・ミンコフスキ レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル コンサート

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マルク・ミンコフスキ 
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル
 2013.2.22
Marc Minkowski
Le Musiciens du Louvre Grenoble


Soprano 1: Ditte Andersen, Maria Savastano
Soprano 2 : Blandine Staskiewicz, Pauline Sabatier
Alto : Mélodie Ruvio, Owen Willetts
Tenor : Colin Balzer, Magnus Staveland
Basse : Charles Dekeyser, Luca Tittoto





    ~プログラム~
グルック 歌劇『アウリスのイフィゲニア』序曲 (ワーグナー編曲版) 追加演目
シューベルト 交響曲第7番 ロ短調 D759 《未完成》
シューベルト 交響曲第3番 二長調 第4楽章  アンコール
    ~休憩~
モーツァルト ミサ曲ハ短調 K427
上記よりクレド アンコール



演目も1曲追加になり、又前半最後にもアンコールがありました。
前半のシューベルト、
弱音での表現がとても美しく、官能的というのとはちょっと違うのですが、
その部分に関してはなかなかうっとりと聴いておりました。

でも・・シューベルトはアンコールの交響曲第3番が
彼ららしくて良かったです!
休憩の時にどちらの国の方か分かりませんが
「Rock&Roll! Rock&roll!」と言っているのを小耳に挟みました。

そして休憩を挟んでモーツァルトのハ短調ミサ曲
ソリスト10名でコーラスをも担当するというやり方。
ソロの部分をどの歌手に歌わせるのかという事も、
それぞれの歌手の個性に合わせて選択しているようで興味深くはあったのですが、
でも、やはりソリストの合唱って・・・
冒頭からタイプの違うヴィブラートが同時に聴こえたりしてきているようで
あまり美しいとは感じられず、続くサヴァスターノのソロも
ヴィブラートはかかるけれどトリルはかけられないのか・・
などなど・・・あまり歌に関しては全般的に満足とはいきませんでした。

私の座っていた席によるものなのかもしれませんが
ディッテ・アナセンも時折聴こえてくる澄んだ綺麗な声と
確かなテクニックを持っている良い歌手のようなのですが、
かなりムラがあるように聴こえて・・

・・・と、否定的に書いてしまいましたが
演奏そのものはとても楽しく、ミサ曲がこんなに愉悦的で良いのだろうかと思うほど。

それから、歌手も曲に合わせて立ち位置を移動するのが
視覚的にも楽しかったです。
フーガではそれぞれ左右に分かれて移動したり・・
合唱団となると、一度場所を決めてしまうとそれで固定してしまうので、
このように曲によって歌う歌手を変えたり、位置を移動したり(大移動・笑)というのは
やっぱりミンコフスキの良い意味でのエンターテイメント性なのかな?
などとも思いました。

それから、
アルゼンチン人のサヴァスターノ、どこかで見た記憶が・・
と思ったら、先日のNeue stimmenの25周年記念コンサートに出演しておりました。
2005年の優勝者で1983年生まれという事です。
冒頭では少し気になりましたが、
10人の中で一番堂々と歌っていたようで、曲が終わってみれば
ある意味で一番印象的な歌手でした。

又、カウンターテナーのOwen Willettsはヘルシンキの「ジュリオ・チェーザレ」で
フランコ・ファジョーリとダブル・キャストであった事もあり、気になっておりましたが、
ソロがなかったので、ハッキリとは分からず、かろうじて少しだけ声が聴けたかな?
という感じでした。

又、やはりソロが無かったのでハッキリとは分からないのですが、
メゾ・ソプラノのPauline Sabatier の声は自分の好みかもしれない・・
と、少し気になりました。


Neue Stimmen 25周年記念コンサートでのパーティー
サバスターノとフラちゃん


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